ベトナムのコンビニ市場:フランチャイズモデルによる市場拡大のチャンス
急速な都市化と安定的な経済成長を背景に、ベトナムのコンビニエンスストア市場は著しい発展を遂げています。24時間営業・利便性の高さ・生活必需品の取り揃えなどの特徴を持つコンビニエンスストアは、主要都市における現代小売業の不可欠な存在となりつつあります。この記事ではフランチャイズモデルに注目して、ベトナムのコンビニ市場を分析しました。
コンビニエンスストア市場の発展状況
経済予測によると、ベトナムの経済規模は今後も拡大を続けると見込まれています。ベトナムの名目GDPは、2023年の4,300億米ドルから2029年には6,720億米ドルへと大幅に増加する見通しです。これに伴い、一人当たりGDPも2024年の4,620米ドルから2029年には6,400米ドル超に達すると予測されており、消費者の所得水準および購買力の着実な向上がうかがえ、消費者の購買行動にも変化が見られます。従来の大型スーパーマーケットや伝統的な市場に代わり、よりコンパクトで自宅に近く、時間を節約できる販売拠点を選ぶ傾向が強まっており、利便性を重視した購買スタイルが広がりつつあります。
国内企業のみならず、海外の小売チェーンもまた、若くて活気があり、将来性の高いベトナム市場への展開を積極的に進めています。中でも、フランチャイズモデルの普及が顕著であり、この仕組みにより、ブランドは比較的低コストで迅速に規模を拡大することが可能となっています。また、現地企業にとっても、小売分野への参入機会が広がるなど、双方にとってメリットのある仕組みと言えるでしょう。
ベトナムにおけるコンビニエンスストアの成長を促進する要因
ベトナムでコンビニエンスストアが急速に発展している景気には、現在の経済および社会状況における多くの有利な要素があります。
①まず、安定した経済成長と国民の収入向上があります。消費者は利便性に対して支払う意欲が高まり、価格だけでなく、サービスの体験や品質に関心を持つようになっています。これが、コンビニエンスストアモデルの発展を支える堅実な基盤となっています。
②また、ハノイやホーチミン市などの大都市での急速な都市化により、人口密集地が形成され、速いペースで暮らしている人々にとって、日常の買い物の利便性がますます重要になっています。これにより、現代小売業にとって大きなチャンスが生まれました。
コンビニエンスストアは、現代の消費者のトレンドにも適応しています。小規模でアクセスしやすい立地、ファーストフードや飲み物、日用必需品などの多様な商品ラインアップを提供するだけでなく、電子決済や速達配送などの便利な機能を統合しています。これにより、忙しい都市生活の中で、顧客の体験を向上させています。
コンビニエンスストアの急速な成長は、2019年から2023年にかけてのデータにも明確に反映されています。ベトナムにおけるコンビニエンスストアの店舗数は着実に増加し、2023年には約1,100店舗に達しました。このモデルからの売上も驚異的に増加しており、2022年から2023年の期間で約17%の成長を記録しました。これは、スーパーやミニマートなどの従来の小売業態を上回る成長率です。
市場拡大の機会とフランチャイズモデル導入時の課題
フランチャイズモデルは、ベトナムで事業を展開したい外国企業にとって大きなチャンスを提供しています。この方法を通じて、企業は迅速に店舗ネットワークを拡大し、初期投資コストを節約するとともに、現地パートナーの市場に対する知識を活用して、消費者に効果的にアプローチすることができます。
フランチャイズモデル導入時の課題
フランチャイズモデルは迅速な拡大の多くの機会を提供しますが、ベトナムに適用する際、特に外国ブランドの企業は多くの課題にも直面しています。
①まず、法的および規制に関して、ベトナムにおけるフランチャイズに関連する法的枠組みはまだ十分に整備されておらず、フランチャイザーとフランチャイジーの権利と義務を明確に定義することが難しい状況です。その上、許可手続きが複雑であり、各地域での食品安全に関する規定が統一されていないため、拡大プロセスに多くの障害が生じています。いくつかのブランドは、地域の要求に適応するためにビジネスモデルを調整せざるを得ず、運営効率やサプライチェーンに影響を与えることになります。
②次に、フランチャイズ店舗間で製品やサービスの品質を均一に保つことは非常に難しい課題です。多くのフランチャイジーは運営基準を厳守せず、結果として顧客の体験が一貫性を欠くことになります。ブランドは、品質とブランドイメージが損なわれないように、定期的な研修、監査、プロセスの標準化に多大な投資をしなければなりません。
ベトナムのコンビニ市場におけるケーススタディ
市場拡大のポテンシャルを示すため、ベトナムの主要なコンビニエンスストアチェーンからの2つの代表的な事例を紹介します。Circle K と Ministopです。
Circle K ベトナム: フランチャイズモデルによる急速な拡大
Circle Kは2008年にベトナム市場に参入し、アメリカの本社から許可を受けたフランチャイズモデルを活用して、ベトナム国内の主要都市、ホーチミン市、ハノイ、ダナンなどで急速に店舗を展開しています。快適な店内設備の導入に加え、パッケージ食品、飲料、ファーストフード、日常必需品など多彩な商品ラインナップを取り揃え、利便性の高い買い物体験を提供しています。現在、Circle Kはベトナム国内で500店舗以上を展開しており、引き続きフランチャイズモデルを通じて、ローカル市場の特徴を活かしながら、低コストで素早く事業規模を拡大しています。これにより、初期投資を抑えつつ、効率的な展開が実現されています。
Ministop ベトナム: フランチャイズ戦略による速やかな拡大
Ministopは、日本のイオングループに属し、2011年にベトナム市場に進出しました。多くのブランドとは異なり、Ministopは便利店と店内で調理されるファーストフードを組み合わせた独自のコンセプトで、アクセスしやすい小規模な店舗モデルを採用しています。フランチャイズ戦略を活用し、Ministopは現地パートナーの市場理解を活かして迅速に店舗を拡大し、初期投資コストを削減しています。さらに、電子決済などの便利な機能を提供することで、都市部の消費者の現代的なニーズに対応しています。現在、Ministopはベトナム国内で130店舗以上を展開しており、今後も成長が期待される地域での拡大を進めています。
Circle KとMinistopの両ブランドは、ベトナムでの店舗ネットワーク拡大において、フランチャイズモデルの明確な効果を示しています。それぞれ異なる戦略と方針を持ちながらも、フランチャイズモデルの活用が、これらのブランドが迅速に成長し、ベトナムの有望な小売市場で店舗を広げるための重要な要素となっています。これらのケーススタディは、現代小売業におけるフランチャイズモデルの可能性を強調し、持続可能な成長戦略においてローカル市場への理解が重要であることを示しています。
まとめ
ベトナムのコンビニエンスストア市場は急速に成長していますが、競争が激しく、特にフランチャイズモデルを導入する際にはリスクも伴います。しかし、消費者行動の変化と都市化の進展により、国際的なブランドや国内企業にとっての成長機会は依然として非常に大きいと言えます。
効率的かつ持続可能に事業を拡大するためには、企業が市場、法的規制、そして地域消費者の行動を十分に理解することが必要です。Solara&Coは、ベトナム市場での実務経験と日越のビジネス文化に対する深い理解を活かし、企業の市場調査、フランチャイズ戦略の構築、そして適切なローカルパートナーの選定をサポートします。
もしベトナム市場でのコンビニエンスストア展開に関心がある場合は、ぜひご連絡ください。
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