M&Aにおけるアーンアウト(Earn-out):「信頼」を数値化する仕組み
M&A(合併・買収)の取引において、企業価値の評価をめぐる意見の相違は決して珍しいことではありません。売り手は「自社にはまだ市場に反映されていない成長余地がある」と主張する一方、買い手は「将来の不確実な期待に対して過剰に支払いたくない」と慎重な姿勢を取ります。このようなギャップを埋めるために生まれたのが、アーンアウト(Earn-out)という支払いスキームです。
アーンアウトとは?
アーンアウトとは、買収価格の一部を将来の業績に連動させて支払う仕組みのことです。
買い手は取引完了時に買収額の大部分を支払い、残りの金額は一定期間後、目標業績の達成状況に応じて追加で支払います。
言い換えれば、アーンアウトは取引後1〜3年程度の企業業績に基づき、後払いされる買収対価です。この仕組みにより、将来リスクを分担しつつ、売り手・買い手双方の利益をバランスよく調整することが可能になります。
アーンアウトが活用される場面
企業価値に関する見解が一致しない場合
取引交渉が企業評価の不一致で難航するケースでは、アーンアウトが有効な解決策となります。
買い手は「過剰評価によるリスク」を回避でき、売り手も自社の将来性が実現した際には当初の評価額を満額で受け取ることができるため、双方にとって納得感の高い取引が実現します。
買い手が資金負担を軽減したい場合
市場金利の上昇などで資金調達コストが高まる中、買収代金を一括で支払うことは買い手にとって大きな負担となることがあります。
この場合、アーンアウトを活用すれば、分割払いのような形で支払いを分散でき、また将来的に被買収企業が創出するキャッシュフローを支払い原資とすることも可能です。
成長ポテンシャルが未知数のスタートアップ投資
明確な実績がないスタートアップ企業は、評価の難しさと潜在的な成長性を併せ持ちます。
アーンアウトを設定することで、スタートアップが特定の業績指標(ユーザー数・売上・利益など)を達成した場合にのみ追加支払いが発生する仕組みとでき、リスク分担とインセンティブ付与を両立できます。
特にテクノロジーやEコマース分野のM&Aでは、非常に一般的な手法です。
ケーススタディ:Solara & Co が支援した事例
・業種:テクノロジー
・取引内容:東京証券取引所に上場しているIT企業のAppirits株式会社は、ベトナムのBunbu JSCを100%買収しました。Bunbuは、厳しい日本市場向けにITシステム開発サービスを提供する企業で、本社はハノイにあります。取引金額は数百万米ドル規模で、現金およびアーンアウト方式を含むスキームとなっています。
・Solara & Coの役割:
Solaraは2年間のアーンアウトスキームを設計・交渉支援。結果として、売り手側は当初想定より高い総受取額を実現し、買い手側も経営陣のコミットメントを維持しつつリスクを最小化することに成功しました。
両社ともにこのスキームに高い満足度を示しています。
👉 事例の詳細はこちら:
https://www.dnse.com.vn/senses/tin-tuc/ma-viet-nam-tang-nhiet-thuong-vu-ty-do-dinh-hinh-lai-cuoc-choi-35129456
📬 Solara & Co Vietnamについて
Solara & Co Vietnamでは、M&Aおよび投資ストラクチャリングに関する助言のみならず、買い手と売り手双方の利益を最適に調整するアーンアウト設計を行っています。
豊富な実務経験と市場知見を持つ専門チームが、透明性・持続性・合理性のあるファイナンス戦略をパートナー企業に提供します。
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