【税制・政策アップデート】法人所得税に関する通達第20/2026/TT-BTCおよび法人所得税法施行令案:外国企業に対する留意点

2026年07月14日 作成

2026年3月12日、ベトナム財務省は通達第20/2026/TT-BTC(以下「通達20」)を公布しました。本通達は、法人所得税法および同法の施行を定める政令第320/2025/NĐ-CPの一部条項について詳細なガイダンスを提供するものです。本通達は2025年度の課税期間より適用され、従来の通達78/2014/TT-BTCおよび96/2015/TT-BTCに代わるものとなります。

法人所得税に関する通達第20/2026/TT-BTCおよび法人所得税法施行令案:外国企業に対する留意点
法人所得税に関する通達第20/2026/TT-BTCおよび法人所得税法施行令案:外国企業に対する留意点

本通達は、証憑書類に関する要件の標準化および明確化に加え、課税対象収益の範囲および認識時点を明確に規定しています。これにより、ベトナム企業のみならず、ベトナムにおいて事業活動または収益を有する外国企業にも重要な影響を及ぼすことが想定されます。

以下では、特にベトナム市場に進出済み、または進出を検討している外国企業にとって重要なポイントを整理します。

費用計上に関する証憑書類要件の厳格化

通達20は、損金算入が認められる費用に関して、より具体的な証憑書類の要件を定めています。適法なインボイスに加え、各費用の性質に応じた裏付け資料の整備が求められます。

☑️根拠:通達20 第3条

特に、人材育成費、研究開発(R&D)費、収益未発生段階における費用、従業員による立替費用などについては留意が必要です。

実務上、取引における証憑要求の水準は今後さらに高まると見込まれ、特に国内パートナーとの取引やクロスボーダー取引において、その傾向が顕著となるでしょう。

外国企業に対する課税範囲の拡大

通達20の重要なポイントの一つは、「法的拠点の有無」ではなく、「ベトナムにおける所得の発生源」に基づく課税原則を強調している点です。

☑️根拠:通達20 第7条、第8条

これにより、電子商取引やデジタルプラットフォームを通じたものを含め、ベトナムから所得を得る外国企業は、たとえベトナム国内に法人や恒久的施設を有していなくても、法人所得税の納税義務が生じる可能性があります。

これは、クロスボーダービジネスに対する課税管理が一層強化されている流れを反映したものです。

持分譲渡取引における課税認識時点

持分譲渡取引に関して、課税対象収益は譲渡契約の発効時点で認識されると規定されています。

☑️法的根拠:通達20 第5条

実務上、この時点は取引完了時や実際の決済時期と一致しない場合があります。そのため、条件付き取引や段階的に進行する取引においては、契約条件の設計・交渉に十分な注意が必要です。

売上高ベースによる課税方法

外国企業に対しては、従来通り売上高に一定の割合を乗じる方法で法人所得税が算定されます。

税額 = 売上高 × 税率(%)


☑️法的根拠:通達20 第7条

この方式では、実際の利益水準にかかわらず課税が行われるため、場合によっては費用が十分に反映されない可能性があります。そのため、事業モデルや価格設定の検討において慎重な対応が求められます。

S&Cからのまとめ

通達20は、外国要素を含む事業活動に対する税務管理の強化を明確に打ち出すとともに、透明性およびコンプライアンスの要求水準を一段と高めています。企業としては、初期段階から証憑管理、取引ストラクチャー、オペレーション体制を適切に整備することで、ベトナム市場におけるリスク低減につなげることが重要です。

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